個人軽貨物はカーリースで黒ナンバー取得が賢い?取得までの手順を解説
通販の需要増にともなって配送する荷物は増加の一途を辿っています。
そのため「個人軽貨物ビジネス」を開始する方も増えつつあります。
この記事では、個人軽貨物を始めようとする方に向けて「カーリースで黒ナンバーを取得するメリット」を解説しています。
軽貨物を開業しようとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
個人軽貨物ビジネスの基礎知識
個人軽貨物ビジネスを開始する際、事業に関する知識はもちろんのこと、業務に使用する車に関する基礎知識は必要不可欠です。
また、軽貨物用の任意保険には取り扱う保険会社が限られているため、通常の任意保険とは異なることを理解しておく必要があります。
以下では、軽貨物事業を始める上で「知っておきたい基礎知識」について解説します。
軽貨物事業には種類がある
軽貨物運送事業は、その柔軟性と手軽さから、多くの起業家にとって魅力的な選択肢となっています。
この事業形態は大きく分けて以下の3つに分類されます。
- 一般貨物自動車運送事業
- 特定貨物自動車運送事業
- 軽貨物運送事業(貨物軽自動車運送事業)
一般貨物自動車運送事業は不特定多数の荷主から貨物を預かり、有償で運送する事業であり、多くの需要があります。
一方、特定貨物自動車運送事業は、単一の荷主に特化したサービスを提供し、その荷主専用の運送を行うのが特徴です。
軽貨物運送事業は、軽自動車や二輪自動車を使用し、不特定多数の荷主からの小規模な貨物を運送する事業で、特に都市部での小口配送に適しています。
それぞれの事業形態には、特定の法律に基づく規制があり、事業を始めるにあたってこれらの違いを理解し、適切な事業形態を選択することが必要です。
ナンバープレートの色の違い
ナンバープレートの色は、その自動車がどのような目的で使われるかを示す指標となります。
事業用登録者は緑ナンバー、乗用車には白ナンバーもしくは黄色ナンバーがそれぞれ割り当てられるのが一般的です。
軽貨物運送事業では商業用の軽自動車を用いることで「黒ナンバー」が割り当てられ、事業用として登録された車両には税制上の優遇措置が適用されます。
また、商用輸送活動を行うために必要な法的要件を満たすことも意味しており、事業の合法性と専門性を顧客に保証することができるでしょう。
これらの点から、軽貨物事業をスタートさせるには、黒ナンバーの取得が欠かせません。
ナンバープレートの色の違いを理解し、適切な対応を行うことが、事業者には求められるのです。
軽貨物用の任意保険は取り扱う保険会社が少ない
軽貨物運送事業を運営する際、適切な任意保険の選択は非常に重要ですが、この分野においては取り扱う保険会社が限られていることが課題となるでしょう。
黒ナンバーをつけた軽貨物車両は一般の乗用車や商用車と比べ、事故リスクが高くなることから保険会社によっては軽貨物用の任意保険を提供していない場合があります。
また、提供している場合でも、保険料が普通車の保険額よりも割高に設定されていることが少なくありません。
保険会社やプランによって異なりますが、一般的な軽自動車の保険料が月額5,000円程度であるのに対し、黒ナンバーの保険料は月額10,000〜15,000円程度となります。
軽貨物業を営む事業者は限られた選択肢のなかから、事業の規模や運送内容に最も適した保険プランを見つける必要があります。
適切な保険選びは、万が一の事態に備えると同時に、事業の継続性を保障する上で必要不可欠です。
カーリースで黒ナンバーを取得すると得られるメリット
カーリースを利用して黒ナンバーの軽貨物車を取得することは、初期投資の削減、経費計上による税制上の利点など多くのメリットが得られます。
以下では黒ナンバーの車両を、カーリースで取得することによって得られる4つのメリットを詳しく解説します。
初期費用を抑えて事業を始められる
カーリースを利用することで、軽貨物事業を始める際の初期費用を大幅に抑えることが可能です。
新車購入に比べて、リースでは車両の全額を一括で支払う必要がないため、月々のリース料のみで事業用車両を使用できます。
その結果、資金繰りに余裕が生まれ、その資金をほかの運営コストや事業拡大のために活用できるでしょう。
さらに、リース契約によっては、メンテナンス費用が含まれていることもあり、予期せぬ修理費用に悩まされるリスクも低減されます。
事業の初期段階で大きな出費を避け、安定した運営基盤を築きたい事業者にとって、カーリースは理想的な選択肢といえるでしょう。
利用料金を全額経費として計上できる
カーリースを活用することで、事業者はリース料金を全額経費として計上することが可能になります。
この経理処理は、運営コストを適切に管理し、税負担を軽減する上で重要な役割を果たします。
リース料金は「リース料」として勘定科目に仕訳が可能です。
さらに、リース契約を通じて車両を使用することで、資産計上(減価償却)する必要がありません。
しかし、リース契約に含まれない任意保険やガソリンや駐車場代は別の勘定科目で仕訳する必要があります。
任意保険は「保険費用」、ガソリンや駐車場費用は車両費として仕訳可能です。
事業を行うためには、税金関係も大きな出費となるため、リースによって車両を取得し、全額経費計上できるようにしておきましょう。
以下の記事では、カーリースの勘定科目の会計処理の方法などを詳しく解説しています。併せて読み進めれば、より黒ナンバーをカーリースで取得するメリットを知ることができるでしょう。
維持管理が楽になる
カーリースを利用すると、車両の維持管理が格段に楽になる点も大きなメリットです。
リース契約には、定期的なメンテナンスや修理が含まれていることが多く、事業者は車両の状態を常に最適な状態に保つことができます。
特に、軽貨物運送事業では車両が事業の中核をなすため、故障や不具合による業務の遅延を最小限に抑えることが大切です。
リース会社が維持管理の責任を負うことで、事業者はメンテナンスの手配や修理費用の支払いから解放され、これらの時間や資源をほかの事業活動に集中させることが可能となります。
カーリースを通じて維持管理の負担を軽減することは、事業運営の効率化だけでなく、サービス品質の維持向上にも直接的につながるのです。
自動車税や重量税の負担を減らすことができる
カーリースを選択することで、自動車税や重量税の負担を軽減することが可能です。
車両にかかる税金は車両所有者の責任で年間にわたって支払う必要がありますが、リース契約ではリース会社が車両の所有者となるため、これらの税金を直接負担することがなくなります。
黒ナンバーの車両にかかる重量税は5,200円です。
一方自動車税は基本的に3,800円ですが、初度検査年月より13年経過した車両は4,500円となります。
このように、カーリースは自動車税や重量税が契約に含まれるため、負担が軽減できるのです。
カーリースで黒ナンバーを取得するとデメリット
カーリースを利用して黒ナンバーの軽貨物車を取得する際には、多くのメリットが存在する一方で、いくつかのデメリットも理解しておく必要があります。
デメリットを把握し、事前に対策を講じることで、事業運営におけるリスクを最小限に抑えることが可能です。
デメリットを総合的に検討し、ビジネスモデルや運営方針と照らし合わせながら、カーリースが事業にとって最適な選択かどうかを慎重に判断することが求められます。
走行距離の制限があるため自由に可動できない
黒ナンバーの軽貨物車をカーリースで取得する場合、特に注意すべきデメリットがあります。
走行距離の制限は最も顕著なデメリットの一つで、事業用として頻繁に使用する車両にとっては、この制限が足かせとなり、予期せぬ追加料金の原因となることがあります。
なかには制限距離無制限のリース契約も選択できるリースもあるため、距離制限があるものよりも無制限を選択した方が、気兼ねなく業務にあたれるでしょう。
一般的なカーリース契約の距離制限については、下記記事に詳しく記載していますので併せてご覧ください。
中途解約が難しい
黒ナンバーを取得した軽貨物車のリース契約では、中途解約に際して高額な違約金が発生することが一般的です。
契約期間を満了せずに解約すると、未払いのリース料全額や、契約解除にともなう手数料など、予期せぬ追加コストを支払わなければならない可能性があります。
このため、カーリースを選択する際には、事業計画の将来性や安定性を慎重に検討し、長期的な視点での契約が推奨されます。
事業の方向性が変わる可能性がある場合や、柔軟な運営が求められる状況では、中途解約の条件を事前に確認し、そのリスクを十分に理解した上で契約を進めることが大切です。
下記ではカーリース契約の中途解約に関して詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
残価精算ありの契約は差額の支払いが必要
残価精算ありのカーリース契約では、契約期間終了時に車両の残価(予想される車両の残り価値)と実際の市場価値との間に差異が生じた場合、その差額の支払いが必要となります。
車両価格の残価に関しては、契約時の走行距離や経年劣化も鑑みた上で反映された金額となるため、誤差範囲となる可能性が高いといえます。
しかし、事故にあったり、手荒に扱ったりしたことによる破損などは車両の価値を低下させるため、取り扱いに十分注意しましょう。
以下では残価設定について詳しく解説していますので、残価の設定方法について知りたい方は参考にしてください。
カーリースの契約には審査がある
カーリースを利用する際、事業者はリース会社による審査を受ける必要があります。
黒ナンバーの軽貨物車両をリースする場合、リース会社は契約の承認に際して事業者の信用度や財務状況を評価します。
審査には、事業計画の提出や過去の経営成績の検証などが含まれることが多く、新規事業者や信用情報に問題のある事業者は審査を通過することが難しい場合があります。
したがって、カーリース契約をスムーズに進めるためには、事業計画の充実や財務健全性の維持が重要となります。
以下ではカーリースの審査について解説していますので、審査について不安や懸念事項がある方はぜひご確認ください。
黒ナンバーを取得する手順をステップごとに解説
黒ナンバーの取得には、事前の準備と手続きが必要です。
黒ナンバーの取得は、軽貨物運送事業を効率的に運営するための重要なステップであるため、適切な手続きを踏むことで間違いなく進めたいものです。
以下では、黒ナンバーを取得するための手順を解説していますので、手続きの際の参考としてください。
ステップ1.取得要件の確認
黒ナンバーを取得するためには、必要な取得要件を満たさなければなりません。
以下は黒ナンバーを取得するために必要な要件です。
- 営業所を設置し休憩や睡眠ができるようにしておく
- 車両を駐車する車庫の確保(営業所に併設するのが原則)
- 車検証の用途欄が「貨物」となっている車両が1台以上所有
- 運送約款の設定
- 損害賠償能力があること
黒ナンバーを取得する際には、上記要件をすべて揃えておくことが必須条件となるため、まずは取得要件をクリアすることを第一目標としましょう。
ステップ2.必要書類を取得
黒ナンバーを取得する要件が揃った後は、必要書類の取得を行いましょう。
事前に準備しておく必要がある書類は以下のとおりです。
取得場所 | 取得場所 |
運輸局 | 運賃料金設定(変更)届出書・事業用自動車等連絡書・貨物軽自動車運送事業経営届出書 |
国土交通省HP | OCR申請書 |
軽自動車検査協会隣接の税申告窓口 | 軽自動車税申告書自動車取得税申告書 |
各書類は窓口で記入できますが、事前に準備しておくことで記入時間や、待ち時間の短縮ができます。
ステップ3.必要書類を提出
黒ナンバーは必要となる書類が運輸局に提出するものと軽自動車検協会で異なりますので注意が必要です。
運輸局では以下の証明書が必要となります。
- 貨物軽自動車運送事業経営届出書
- 運賃料金表
- 車検証
- 事業用自動車等連絡書
軽貨物自動車運送事業経営届出書と運賃料金表は提出用と控え用の2部が必要です。
車検証はコピーも可となっています。
次に軽自動車検査協会に提出する書類は以下のとおりです。
- 車検証(原本)
- 申請依頼書
- 事業用自動車等連絡書
- 住民票(法人は法人謄本)
- ナンバープレート2枚(軽自動車に取り付けられている黄色のナンバープレート)
- OCR1号シート
- 軽自動車税申告書・自動車取得税申告書
ナンバープレートを黒ナンバーに変更する際、別途費用がかかるため事前に確認しておきましょう。
黒ナンバーの取得手続きは多くの書類を揃える必要があるため、労力を要します。
費用が発生しますが、場合によっては代行業者を検討するなどしてはいかがでしょうか。
まとめ
軽貨物事業を開始するためには、黒ナンバーの取得は必須です。
また、取得するまでには事前準備が必要となり、取得要件を満たしたり、申請を行ったりする必要があるため労力を要します。
カーリースを使用することにより、税の申告時や申請の簡素化が可能となるため、事業開始時にはできる限りカーリースの使用をおすすめします。
しかし、マイカーローンをはじめとする一般的な購入方法より割高になる可能性もあるため、メリット・デメリットを検討した上で、利用の最終決定を行ってください。
この記事の監修者
ctn-magazine
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