カーリースの勘定科目とは?マイカー契約時における経費処理の違いを解説!
カーリースは月額料金のなかに、車両購入費用やメンテナンス代、車検代、自動車保険料などが含まれているので、月々の経費処理が楽になります。
一方マイカーを購入すると、その時点で発生した車両購入費用の計上だけではなく、特定の月によって車検代の計上が発生します。
カーリース契約と比べて、マイカー購入は経費処理が煩雑になってしまうのです。
この記事では、カーリースを契約してからの経費処理や勘定科目について解説します。
加えて、マイカー購入時とカーリース契約時の経費処理を比較します。
個人事業主や法人の方へ、初めてカーリースを契約する際には最後まで読んでみてください。
目次
カーリースとは?カーリース契約の流れも解説
ここでは、カーリース契約の概要と、カーリース契約の流れを解説します。
カーリースの概要
カーリースとは、カーリース会社が所有している車を、契約期間内に使用者に貸し出すサービスです。
カーリースは、車両本体価格や、自賠責保険料、車検代、メンテナンス費用など、すべてが月額料金に含まれます。
毎月決まった料金を支払うだけで、車検やメンテナンス、保険料の支払いなどを任せられます。
契約期間は短くて1年、長くとも10年以上と、契約者のニーズに対応できます。
多数の車種から好きな車種を選択できます。
途中解約ができず、解約する場合には違約金が発生します。
カーリース契約の流れ
一般的なカーリース契約の流れを説明します。
- 希望車種や契約内容を選択する
- 見積りを出す
- 審査に申し込む
- 審査に通過後、契約する
- 納車される
途中解約ができないため、結婚や出産、引っ越しなど、ライフスタイルの変化がある場合には、それを見越した車種や契約年数を考えなければいけません。
カーリースは、ほとんどの車種を選択可能です。
ライフスタイルに合わせた車種や契約内容を選択し、見積もりを申し込みます。
見積もりが出て、予算にあった内容であれば、契約へ進み審査されます。
法人や個人事業主は、事業内容や資本金、売上高などが記載された決算関係の書類を求められますので、提出してください。
提出した書類内容をもとに審査が行われ、審査に通ると契約内容を再度確認し、納車されます。
カーリース契約とマイカー購入時の会計処理の違い
カーリースの契約時と、毎月の月額料金を経費へ計上する際は、どのように会計処理を行うとよいのでしょうか。
ここでは、マイカー購入時とカーリース契約時の会計処理や、勘定科目について解説します。
カーリース契約とマイカー購入の会計処理を比較
法人や個人事業主が、カーリース契約をする場合と、マイカー購入をする場合では、会計処理が異なります。
カーリース契約をする場合は、月額料金をそのまま経費へ計上でき、月額料金の中にメンテナンスや自賠責保険料、車検代が含まれています。
会計処理を簡素化することが可能です。
ただしカーリースは、所有権がカーリース会社にあるため、契約者の固定資産として認められません。
一方、マイカー購入をする場合は、「車両運搬具」という勘定科目で仕訳して経費へ計上します。
購入にかかった費用を全て経費へ計上することはできません。
全て経費へ計上できない理由が、減価償却に関係があります。
マイカー購入してからの減価償却とは
マイカーを購入すると「車両運搬具」として経費へ計上しますが、このとき全額を経費へ計上することはできません。
車を購入すると、所有権は購入者のものとなり、固定資産として扱います。
固定資産を購入すると、減価償却が必要です。減価償却とは、購入費用を決められた年数(耐用年数)で割って、その算出した金額を経費へ計上します。
車の場合は、耐用年数が6年です。
たとえば、300万円で事業用の車を購入した場合に経費へ計上できるのは、1年間に300万円÷6年=50万円になります。
カーリースを計上するための勘定科目
カーリース料金を経費へ計上するには、次の勘定科目を使って仕訳します。
勘定科目 | 使用意図 |
リース料 | カーリースの月額料金 |
保険費用 | 任意保険料 |
車両費 | ガソリン代や駐車場代、カーリース料金以外に発生した費用 |
リース料という勘定科目は、カーリースの月額料金にあたり、月額料金に車検代やメンテナンス費用、自賠責保険料、自動車税などが入っています。
マイカー購入と違い、リース料という一つの勘定科目でほとんどの費用が含まれているため、経費処理が楽です。
カーリースに含まれない費用は経費へ計上できるのか
カーリースに含まれない費用は、保険費用や車両費として計上します。
カーリース契約に含まれる保険は自賠責保険のみであり、自賠責保険では補償できない部分は、契約者が任意保険に加入しなければいけません。
任意保険料は「保険費用」という勘定科目で仕訳します。
走行した分のガソリン代や、契約者自身が用意しなければいけない駐車場代は、カーリース料金には含まれず「車両費」として、仕訳します。
カーリースの仕訳と勘定科目
カーリース料金を経費へ計上する際に、次の3種類の契約方法によって、勘定科目や経費への計上方法が異なります。
- 所有権移転ファイナンス・リース取引
- 所有権移転外ファイナンス・リース取引
- オペレーティング・リース取引
ファイナンス・リース取引の種類
カーリース車の所有者はカーリース会社であるため、所有権はカーリース会社にあることを前提として、ファイナンス・リース取引を大きく2種類に分けて説明します。
所有権移転ファイナンス・リース取引
所有権移転ファイナンス・リース取引とは、契約満了時に所有権がカーリース会社から契約者に移る取引です。
カーリース車をもらう契約プランのときに、この取引が行われます。
カーリース車を最終的に購入する場合も、車をローンで購入する場合も、所有権移転ファイナンス・リース取引です。
このとき、カーリース車は固定資産として扱われ、減価償却の仕訳をします。
取引発生時 | 仕訳内容 |
契約時 | リース資産(車両本体価格)/リース債務(車両本体価格) |
月額料金支払い時 | リース債務(カーリース車本体価格÷契約月数)/現金(月額料金) |
決算仕訳時 | 減価償却費(現金で購入した金額÷リース回数×年度内の月数)/リース資産 |
所有権移転外ファイナンス・リース取引
所有権移転外ファイナンス・リース取引とは、契約が終了しても所有権がカーリース会社であり、所有権が移行しない取引です。
ほとんどのカーリース契約はこの取引内容です。
もし、そのカーリース車を持ち続けたい場合には、再度契約を行うか、その他費用を支払い、所有権を契約者本人に以降させます。
所有権移転外ファイナンス・リース取引は、この取引特有の「リース期間定額法」で、資産計上と減価償却して決算仕訳をします。
取引発生時 | 仕訳内容 |
契約時 | リース資産(車両本体価格)/リース債務(車両本体価格) |
月額料金支払い時 | リース債務(カーリース車本体価格÷契約月数)/現金(月額料金) |
決算仕訳時 | 減価償却費(現金で購入した金額÷72か月または48か月)/リース資産※普通車は72か月、軽自動車は48か月 |
オペレーティング・リース取引
ファイナンス・リース取引に当てはまらない取引は、オペレーティング・リース取引です。単なる賃貸借処理になり、カーリース車は、契約満了時にカーリース車へを返却する必要がありますが、資産計上や減価償却がありません。
仕訳は、月額料金を支払うときのみです。
次のように仕訳します。
リース料/現金(または普通預金)
個人事業主がカーリースを計上する場合の注意点
カーリース車を、仕事用とプライベート用の両方で利用する方もいるでしょう。
個人事業主がカーリースを仕事で使用し、経費へ計上する際には、3つの注意点を理解しなければいけません。
それぞれ解説していきます。
仕事でのみカーリースを利用する場合
仕事のみでカーリースを利用する場合は、カーリース料金全額を「リース料」という勘定科目として、経費へ計上できます。
カーリース料金だけではなく、走行した分のガソリン代は「車両費用」という勘定科目、任意保険料は「保険料」という勘定科目として、経費へ計上します。
プライベートでのみカーリースを利用する場合
カーリース車をプライベートのみ利用する場合は、経費へ計上ができません。
仕事とプライベートの両方でカーリースを利用する場合
カーリース車を、仕事用とプライベート用の両方で利用する場合には、家事按分という方法で、経費計上します。
カーリースの場合、家事按分とは、リース料金やガソリン代、任意保険料、駐車場代などカーリースに発生した費用を、仕事で使った分とプライベートで使った分に分けて、経費に計上することです。
たとえば、仕事で走行した距離と運転した日数を考え、仕事:プライベート=8:2と設定すると、経費へ計上できる経費は仕事の8割分のみとなります。
家事按分の割合は、自己申告で決定するので、カーリースに関わる費用を10割経費へ計上することも可能です。
しかし、申告後に税務調査が入ったときに指導が入ることがあります。
家事按分は、仕事とプライベートの、正直な割合で申告しましょう。
社用車にカーリースを利用する際のメリット
法人や個人事業主がカーリースを利用するメリット3選を紹介します。
経費化して節税できる
カーリースは、仕事用で利用する場合には、カーリースに発生する費用の全てを経費に計上でき、節税効果が高くなります。
一括で購入する場合と、カーローンで購入する場合とでは、経費計上の内容が異なります。経費へ計上できる金額が大きくなるほど、節税効果は大きくなります。
次の表は、社用車をカーリース契約、一括購入、ローン購入するときに、経費へ計上できる内容をまとめたものです。
社用車を利用する選択肢 | 経費へ計上できる内容 |
カーリース契約 | 家事按分がない場合は、社用車に発生した費用全て |
一括購入 | 減価償却費用内で経費へ計上可能 |
ローン購入 | 減価償却費用と利息のみ経費へ計上可能 |
カーリースは家事按分がない場合には、月額料金やガソリン代、任意保険料など全てを経費へ計上できます。
経費が一定なのでコスト管理がしやすい
経費が一定であると、コスト管理が行いやすくなり、個人事業主や法人の方は安心できるでしょう。
カーリース月額料金には、メンテナンス費用や車検代、自動車税、自賠責保険料などが含まれているので、毎月の経費管理が楽になります。
車を購入すると、特定の月に自動車税や車検代の支払いが発生するので、経営資金の負担が大きくなります。
費用管理の業務管理負担を削減できる
カーリースを契約すると、面倒な経理処理業務が削減でき、本来の業務に専念できます。
経理管理だけではなく、カーリースの車検やメンテナンスも、カーリース会社に任せられます。
本来の業務に専念するために、社用車に関してカーリース会社に頼るメリットは大きいものです。
社用車にカーリースを利用する際のデメリット
法人や個人事業主がカーリースを利用するデメリット3選を紹介します。
中途解約ができない
事業経営が悪化し、中途解約したくなっても、原則カーリース契約は中途解約が不可能です。
やむを得ず中途解約する場合には、残りの契約満了月までの月額料金分と、違約金を一括で支払わなければいけません。
カーリースを契約する際は、カーリースを契約する目的や契約機関をしっかり考え、契約する必要があります。
走行距離の制限がある
カーリースを契約する際は、走行距離の制限があります。
本来月額料金は、契約満了時に車の価値を予想した残価を設定し、車両本体価格から残価を引いて契約期間の月数を割った金額です。
走行距離を設定することで残価が決まります。
走行距離の制限を超えると、車の価値が落ちてしまいます。
契約満了時の価値と、契約時に設定した残価に差が出ないよう、走行距離の制限を設けているのです。
契約満了時に追加料金が発生することがある
カーリースの使い方により、契約満了時に追加料金が発生します。
カーリースはカーリース会社の所有物であり、借りた車は元の状態に戻して返却することが原則です。
契約満了時に発生する可能性がある追加料金は次の通りです。
- 走行距離制限を超えて走行した分の精算金額
- 車の傷や汚れを修復するための原状回復費用
- 契約時に設定した残価と契約満了時に査定した金額の差額分
車を購入した場合でも、車に傷をつけてしまった修理費用が発生したり、走行距離が多いほど価値が下がり売却時に査定額に影響します。
社用車をカーリース契約するか購入するかは、予定している走行距離などをもとに検討しましょう。
まとめ
個人事業主や法人が、カーリースを契約したときと購入したときの勘定科目の違いや、経費処理の違いを中心に解説しました。
さらに、社用車をカーリースにしたときのメリットとデメリットについても解説しました。
社用車をカーリース車にする場合には、経費計上についてしっかり理解しておかないと、経営に支障が出ます。
よく考えて、カーリースにするか購入するかを検討しましょう。
この記事の監修者
ctn-magazine
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