カーリースの残価設定って?デメリットやトラブルを避けるには?
カーリース契約を利用しようとするとき、「残価設定」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
この「残価設定」という言葉は、他の場所ではなかなか聞き慣れない言葉となるケースが多くあります。
そのため、実際のところ残価設定とはなんなのか、残価設定にはどのような種類があるのか、残価設定があることでどのような効果があるのかという点についてよくわかっていないという方も少なくないでしょう。
この記事では、カーリースの場面で用いられる「残価設定」という言葉について理解しやすいように解説します。
目次
そもそもカーリースにおける「残価設定」とは?
まずは、「車を入手する」という意味では同様の契約である「購入」や「レンタカー」などの利用の場面では出てこない、「残価設定」という言葉の意味、そして残価設定の「種類」の違いについて解説します。
カーリースの契約において残価設定という特殊な用語が発生するのは、カーリースという契約形態が、「リース会社が契約者の希望する車を代わりに購入する」という契約の方式に由来しているのです。
この点にも着目しながら残価設定の解説をしていくことで、より残価設定について理解しやすくなるでしょう。
カーリースにおける残価設定とは?
カーリースにおける「残価設定」とは、カーリース契約終了後にリース車を返却するという前提において、返却する際に予想されるリース車の価格をあらかじめ契約の際の金額から差し引く、という方式です。
この「契約終了時の価格」のことを「残価」と呼んでいるのです。
カーリースという契約の目的物は車両ですが、この車両がリース契約満了時にまだ価値のあるものとして残存していることを前提として、あらかじめその車両の残価を車両購入碑から差し引くことで、利用者は安いリース代でカーリースを利用できるというメリットがあります。
なお、この残価設定には、「オープンエンド方式」と呼ばれる方法と、「クローズドエンド方式」と呼ばれる方法の2つの形式があります。
次の項目では、オープンエンド・クローズドエンドそれぞれの方式の特徴を解説します。
残価設定の方式1:オープンエンド方式
オープンエンド・クローズドエンドの「オープン」と「クローズド」は、リース契約時に設定した「残価」の金額を、リース契約者に「公開するか・しないか」という違いだと理解するとわかりやすいでしょう。
つまり、オープンエンド方式は残価を公開する方式です。
オープンエンド方式では、まず契約時にリース契約満了時の車両の残価が公開されます。
場合によっては、この段階でリース会社と契約者の交渉によって、残価を高く設定し、リース代を安く抑えるという方法も考えられます。
しかしながら、このような方法をとった場合、リース契約満了時の車両査定において、残価が当初の査定よりも低くなっていると、契約終了時に追加支払いが発生する可能性が高くなります。
車両の査定額がリース契約満了時に低くなる要因としては、車両の汚れ、臭い、破損などの車の状態に大きく影響します。
つまり、リース契約継続中に車の状態が悪くなればなるほど、リース契約満了時の追加支払いの可能性が高くなることを示しています。
残価設定の方式2:クローズドエンド方式
次に、クローズドエンド方式です。
先のオープンエンド方式の解説から、一定程度予想がつく方も多いでしょう。
クローズドエンド方式は、カーリース契約時に設定した残価をリース契約者に公開しない契約方式となります。
リース契約者に残価が公開されないので、当然のことながら、リース契約者はその車両の残価がいくらなのかがわかりません。
それでは、カーリース契約満了時の残価をカーリース会社が勝手に査定して、高額な追加支払いを求められてしまうのではないか?と不安になる方もいるでしょう。
しかし、そうではありません。
クローズドエンド方式の契約では、契約満了時の差額の清算責任はリース会社の側にある、というのがクローズドエンド方式なのです。
ということは、クローズドエンド方式における契約で、リース契約満了時に、車両の査定額が当初査定を下回るような車両の状態になってしまっていたとしても、契約者にはその差額の支払いを求められることはないのです。
ただし、残価よりもリース契約満了時の査定額のほうが高くなったとしても、返金などの扱いはありませんので注意が必要です。
また、いくら残価との清算がないとはいえ、著しい破損などが見られる場合には、原状回復費を別途請求するという契約内容になっている場合もあるため、クローズドエンド方式のカーリース契約であっても、契約内容には注意しておく必要があります。
残価設定ローンとカーリースの違いとは?
ここまで、残価設定について解説してきました。
では、残価設定はカーリースでのみ用いられるものかというと、実はそうではありません。「残価設定ローン」と呼ばれる方法があります。
残価設定ローンは、カーリースと同じように残価を設定して月々の支払い金額を決める方法です。
しかしながら、残価設定ローンが車両価格についてのローンであるのに対して、カーリースは、車両購入価格に加えて車検・メンテナンス費用、自賠責保険、自動車税などの金額も含まれています。
そのため、月々の支払い金額は残価設定ローンよりもカーリースのほうが安価になる可能性があります。
カーリースにおける残価設定のメリットとデメリット
では、カーリースにおける残価設定があることによるメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
カーリースのほかに、先に「残価設定ローン」(残クレ)や、分割購入などの方法がありますが、こうした方法と比較した場合についてのメリット・デメリットにも注目して解説していきます。
カーリースにおける残価設定のメリット
まず、カーリースにおける残価設定のメリットとしては、月々に支払う金額が抑えやすいという点です。
たとえば、「残クレ」などと呼ばれるタイプの契約・残価設定ローンなどの場合、これらはあくまでローンであるため、契約者はお金を金融機関から借りることとなります。
そして、この仕組みでは借りたお金に対して利息がかかります。
一方で、カーリースの場合には、契約者が支払っているのはあくまで「借りたお金」ではなく、リース会社に対する「使用料金」であるため、ここに利息がかかることはありません。
また、先に解説したように、自賠責保険料や自動車税、自動車重量税、車検費用などの車体本体価格以外の部分については、残クレの場合は購入者が別途支払う必要がありますが、カーリースの場合にはそれらを一括して含めた金額から残価を引いて契約者が支払う方式なので、結果的に月々の支払いが安価となる可能性が高いのです。
カーリースにおける残価設定のデメリット
一方で、デメリットもあります。
先に解説したように、カーリースの月額使用料には、自賠責保険亮や車検費用などの諸費用が含まれているため、結果的に契約者が別途払うよりも割安となっていることがあるのですが、それを認識ないと、月額の費用が「高い」と感じてしまうケースがあります。
また、車の利用をどの程度想定しているかによっても違いが生じます。
たとえば、最終的に車を所有することができず、契約満了後は車を返却するという前提のカーリースにメリットを感じないというケースもあるでしょう。
くわえて、カーリースは中途解約ができないこともデメリットと感じる場合があります。
中途解約は契約違反となり、残価は考慮されますが、多くの場合違約金が課せられるため、残価設定をしていても持ち出しの金額が出るのが一般的です。
カーリースにおける残価設定のトラブル
これまで、カーリースにおける残価設定の意味や、残価設定の種類、そして残価設定があることによるメリット・デメリットについて解説してきました。
ここからは、カーリース契約における残価設定でどのようなトラブルが発生するかという点について解説します。
トラブルの種類や内容をあらかじめ把握しておくことで、残価設定におけるトラブルを未然に予防することに役立つでしょう。
オープンエンドによる残価精算のトラブル
まずは、カーリースの残価設定における「オープンエンド方式」で契約した場合の残価設定のトラブルについて解説します。
オープンエンド方式については、契約時に車両の残価査定額が契約者に公開されます。
そして、契約満了時に査定した実際の残価が、契約当初の想定残価を上回っていれば差額の返金が受けられます。
しかしながら、実際の残価が想定残価を下回った場合には、契約者がこの差額をリース会社に対して支払わなければならないという方式です。
カーリースにおける残価設定のトラブルでもっとも想定しやすいと考えられるのがこのトラブルで、契約者は想定残価を下回っていることを想定していなかったり、差額の支払いがあることを認識していなかったようなケースでは、さらにトラブルにつながりやすいといえます。
契約満了時の査定においては、車の状態が非常に重視されます。
つまり車体の傷や汚れ、凹みなどはもちろんのこと、車内の汚れや臭いといったところにも注意が必要です。
また、自分では傷や凹みをつけた覚えがないのに、車体に傷や凹みが出来ているというケースの場合には、それが契約当初からついていた傷なのかどうかを確認する意味でも、一度リース会社に確認しておくことが無難といえるでしょう。
クローズドエンドによる残価のトラブル
基本的に、残価設定でのトラブルが起こりやすいのは、先の項目でも解説したように「オープンエンド方式」の契約によるものです。
というのも、車両返却時に高額な差額の支払いを求められてしまったということがトラブルにつながりやすいためであると考えられます。
一方、「クローズドエンド方式」を採用したカーリース契約の場合には、契約満了時に差額精算を行うことはありません。
そのために契約時に残価が開示されることもないのですが、結果的に契約満了時にトラブルになることを防ぐ効果もあります。
ただし、クローズドエンド方式であれば残価のトラブルは全く存在しないかというと、そういうわけでもありません。
クローズドエンド方式で契約したカーリース車であっても、著しい破損や汚損があった場合に、契約満了時に「原状回復費用を請求する」と定めている契約となっている場合には、契約者はその支払に応じる必要があります。
これは契約締結の際に契約書等に記載される項目であるため、契約者自身がしっかりと確認しておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
改造・破損・事故はカーリースではご法度
ここまでの内容で解説してきたように、カーリースという契約形態は、契約満了時に想定残価の価値を維持したまま、リース会社に車を返却するという前提の契約であることがわかります。
つまり、リース会社に車を返却する時点で、想定残価を下回るとトラブルにつながりやすいということになります。
車の価値はもちろん使用によって経年劣化がありますが、それ以上に一挙に価値を減らす行為としては、事故や破損、そして改造が挙げられます。
車に乗る際に事故や破損は必ずついて回るリスクです。
しかしながら、「リース車で自分の所有物ではないから」という理由で乱雑にリース車を扱うことは、結局自分の損失につながるばかりでなく、契約趣旨にも反するということを認識するべきでしょう。
また、改造についても、あくまでリース会社からの「借り物」の車であるという認識に立てば、行ってはならないものだという結論に自然に行き着きます。
改造を楽しみたければ、自分の所有車で法の範囲内で楽しむのが正当な方法です。
まとめ
この記事では、カーリースの残価設定について、残価設定という言葉の意味や、残価設定があることによる効果、残価設定の種類などについて解説するとともに、残価設定のメリット・デメリット、そして残価設定によるトラブルについて解説しました。
残価設定は、リースという契約形態の大前提があってはじめて成り立つものです。
想定残価を下回るような使い方は、そもそもリース契約の想定外であるという認識のもとに、車の価値を滅失させないようにしつつ借りた車を使うという前提を忘れずに適切な利用につとめることが重要であるといえます。
こうした意識でカーリースを利用することで、残価設定による思いがけないトラブルに遭遇するリスクを低減させることができるでしょう。
この記事の監修者
ctn-magazine
マガジンの投稿者に表示されるテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキス