債務整理をするとカーリースの契約ができない?ほかの方法はある?
カーリースというサービスは、毎月定額の月額料金を支払うことで車を利用できるというお得で使いやすいサービスです。
しかしながら、カーリースを利用しようと思っていたのに、「債務整理をしているとカーリースが利用できない」というような情報を目にしたことがあるという方もいるのではないでしょうか。
債務整理とカーリースには、一見あまり関係がないようにも思えますが、実は両者には影響があります。
この記事では、債務整理とカーリースとの関係、カーリースの審査について解説します。
カーリースの審査と債務整理
まず、カーリースを契約するうえでのカーリースの「審査」というステップ、そして、審査と債務整理とのかかわりについて解説します。
この審査のステップで、利用者の債務整理の情報が影響してくるのです。
債務整理には種類がある
そもそも、「債務整理」とはどういうものでしょうか。
「自己破産」や「任意整理」などの用語を聞いたことがあるかもしれません。
ざっくりと、「借金の返済を免除してもらう」というように理解しているケースもあるでしょう。
正確には、自己破産や任意整理という仕組みは、「債務整理」という大きな概念の中の類型であると表現できます。
以下に、債務整理の類型である自己破産、個人再生、任意整理という手続きのそれぞれの特徴について解説します。
自己破産
最初に、「自己破産」というタイプの手続きについて解説します。
自己破産という言葉自体は聞いたことがあるという方も多いでしょう。
自己破産というのは、「財産がないために債務の支払いができない」ということを裁判所に認めてもらい、法律上、借金の支払い義務を免除してもらうという手続きのことをいいます。
自己破産は、どれだけ債務が大きくても、裁判所からの免責許可が下りることで債務の返済は必要なくなります。
ただし、当然デメリットもあります。
高価な財産は処分されるほか、ローン返済中の財産は回収される可能性があり、信用情報機関に「事故情報」が載ることになります。
これがいわゆる「ブラックリスト」です。
このブラックリストについては、後ほど詳しく解説します。
個人再生
個人再生とは、債務が返済できないおそれがある、ということを裁判所に認めてもらうことで、住宅などの財産を維持したままで、大幅に減額された借金を3年から5年という期間で返済していくという手続きです。
個人再生の対象となるのは、主に安定した収入があるにもかかわらず、借金の総額が大きいために返済ができなくなるおそれがある、というタイプの方です。
個人再生の手続きの場合は、自己破産とは異なり、ローンの返済が終わっていれば住宅や車は処分されず、借金が大幅に減額されるという特徴があります。
個人再生も自己破産と同様に、事故情報が記録されることとなります。
任意整理
任意整理は、自己破産や個人再生とは決定的に異なる点があります。
それは、「裁判所を通さない手続きである」という点です。
毎月の返済が大きな負担となっている場合に、カード会社等との間で、利息のカットや原則3年から5年の長期分割払いによって返済を行うという交渉を行い、毎月の返済による負担を減らすという手続きのことを指します。
任意整理においては、月々の返済額が無理のない金額に設定され、利息をカットされるなど債務者にとってはメリットがある一方、やはり自己破産や個人再生と同様、事故情報が記録されるというデメリットはあります。
「事故情報」と「ブラックリスト」
先の3つの事例において、ポイントとなってくるのが「事故情報」と「ブラックリスト」という言葉です。
ブラックリストというのはよく耳にする単語ですが、実際のところクレジットカード会社や金融機関などで「ブラックリスト」と呼ばれるリストがあるわけではありません。
これは、「事故情報」が登録されているという状況のことを指しています。
「事故情報」という情報が何に記録されているかというと、「信用情報機関」と呼ばれる機関の情報に記録されるのです。
たとえば、ある人が新たにクレジットカードを作成したり、ローンを組むなどをする場合には、信用情報機関に問い合わせが行われ、事故情報があれば申し込みを拒否されるというわけです。
このような状態を俗に「ブラックリストに載っている」と表現します。
事故情報に載る理由として代表的なのは、自己破産や個人再生、任意整理などの債務整理のほか、約定返済日からの延滞、複数回の延滞、連帯保証人などからの弁済などが挙げられます。
カーリースには審査がある
さて、信用情報や事故情報といった話題が続きましたが、カーリースとの関係でいうと、これらの情報が関わってくるのはカーリースの「審査」という段階においてです。
カーリースでは、利用者がカーリースの申し込みを行うと、まず「審査」が行われます。
このときに、事故情報などの情報が必要となってくるのです。
審査の基準
そもそも、なぜカーリースには審査があるのでしょうか。
カーリースは、車体価格をいったんカーリース会社が払って車を購入し、そこから契約終了時点の車の価値(=残価)を差し引いて、残りの金額を契約期間で割って月額料金を算出する、という方法が主に採用されます。
つまり、リース会社としては、契約期間満了時まで月額利用料金を支払い続けてもらうことによって初めて、車両本体の価格を満たせるという考え方なのです。
途中で支払不能となり解約となってしまうような利用者は、カーリースの契約においては大きなリスクであり、そういった相手との契約は避けたいという趣旨があります。
審査に通る方の特徴
こうした要素があるカーリースの審査において、審査に通りやすい特徴がある利用者は、やはり毎月安定した収入があることや、これまでにローン・税金・携帯代金などの定期での支払いにおいて延滞や滞納がないことです。
更に細かく利用者の要素を見ると、たとえばアルバイトよりも正社員のほうが安定した雇用とみなされるため、審査に通りやすくなります。
また、同じ会社で長期間働き続けていることなども、場合によっては審査に通りやすくなる要素の一つとして加味されるケースもあるでしょう。
審査に通るための対策
審査に通りやすくなるための対策としては、やはり「審査に通りやすい方」の属性に近づけていくことが理想です。
たとえば、現在定期的な収入がないという場合であれば、転職や就職によって一定期間働き続けていることを証明できればより支払い能力が高いと判断されます。
アルバイトだった方が、たとえば社内の試験を受けて正社員になるというのも良い方法です。
ほかには、支払不能リスクを下げる方法として、保証人が用意できるようにしておくなどの対策も考えられます。
審査に落ちた場合
審査に落ちてしまった場合は、カーリースの契約をすることはできません。
審査に落ちるということは、カーリース会社にとっては、現在の申込者の状態では支払不能リスクを担保できないと判断されたという可能性が濃厚です。
自身の状況が何も変わっていない状態で再度申し込みをしても、同じカーリース会社では判断が覆る可能性は低いと言わざるを得ません。
ただし、カーリース会社から「保証人を立ててくれれば契約ができる」などの提案があるケースもありますので、連絡があった場合には誠実に対応するよう心がけると良いでしょう。
債務整理がカーリースの審査に与える影響
先に解説したように、債務整理を行っていると信用情報に対して事故情報が記録されます。
事故情報がある場合、ローンやクレジットカードの申し込みに関しては審査を通過する可能性はほぼなくなってしまいます。
カーリースにおいては、一部リース会社では事故情報があっても保証人がいれば契約できるとするケースがあるものの、基本的には事故情報がある申込者に関しては、リース契約の締結は困難であると考えておいたほうが良いでしょう。
カーリースの審査についてはこちら
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債務整理でカーリースが利用できない!ほかの選択肢は?
では、債務整理をしたことが原因でカーリースの契約ができない場合には、ほかの選択肢はないのでしょうか。
カーリース以外に車を調達する手段について、以下に解説します。
中古車を一括購入する
中古車の購入は、債務整理をして事故情報がある方にとっても有力な選択肢となり得ます。
カーリースの契約が事故情報によって拒否されるのは、継続しての支払い能力に不安があるということであり、一括で購入する場合には支払い能力は問題とはなりません。
中古車は新車と比べ価格が安いのが一般的であり、一括購入も不可能ではありません。
リースではなく車の所有となる点は異なりますが、すぐに使える自家用車を調達する手段としては有力な選択肢です。
レンタカー・マンスリーレンタカーを利用する
車を使う頻度が低い場合には、レンタカーやマンスリーレンタカーを利用するという手段もあります。
カーリースと比較すると、やや料金は割高となるケースがあり、またナンバーも「れ」や「わ」など、レンタカーであることを示すナンバーとなってしまいますが、車を利用できば良いという場合には有力な選択肢です。
カーシェアを利用する
カーシェアは、レンタカーよりもさらに短い数時間単位で車を使えるシェアサービスです。
車の利用頻度がかなり少ない、一回あたりの利用時間が短いなど、普段はそこまで車がなくても不便ではないという方は、カーシェアの利用も検討してみると良いでしょう。
公共交通機関の利用
カーリースの利用ができないということが判明した場合は、改めて車の利用が必須であるかどうかを見直す機会でもあるかもしれません。
電車やバス、地下鉄など、公共交通機関を使えば目的の移動が達成される場合には、あえて車を入手する必要はないというケースも実は珍しくありません。
債務整理をしたら二度とカーリースは使えない?
事故情報に記載されるとカーリースの審査に影響があることを解説しましたが、では債務整理をしたら二度とカーリースは利用できないのでしょうか。
以下には、債務整理をした場合のカーリースでの取り扱いについて解説します。
事故情報が消えた後であれば契約できる
事故情報は、一定期間記録されたあと、再びクレジットカードを作ったりローンを組んだりできるようになります。
期間には違いがありますが、たとえば自己破産の場合には、事故情報に登録されるのは5年から10年とされています。
この期間が経過した後は、カーリースの審査に事故情報が直接影響することはなくなるでしょう。
家族名義での契約
カーリースは、家族名義で契約をすることもできます。
カーリースの審査は申込みを行った人物についての審査であるため、家族名義で申し込んだ場合には、自分の事故情報が審査に悪影響を与えることはありません。
ただし、その場合はリース料金が家族のもとに請求されることになります。
家族とトラブルにならないよう、しっかり話し合いをしておく必要があるでしょう。
定期的な収入を得るなど信用を高めるようにしておく
事故情報がある申込者でも、最終的に契約をするかどうかを判断するのはリース会社です。
たとえば事故情報があっても、現在は定期的な収入があり、保証人も立てられるなどの条件が整えば、契約に応じてくれる会社があるかもしれません。
リース契約を結んでもらいたいという理由だけではないでしょうが、定期的な収入が得られる仕事を探すなど、社会的信用を高めるように行動しておくことにより、思いがけず契約の機会が訪れることもあります。
債務整理とカーリースの関係で「行ってはいけないこと」
債務整理をしていることや、過去にしたことについては、あまり大っぴらに話したくないという方が多いでしょう。
しかし、カーリースとの関係で、債務整理においてはやってはいけないことがあります。
それが「リース契約時に虚偽の申告をすること」と、「利用中のリース車を任意整理の対象とすること」です。
リース契約時に虚偽の申告をする
リース会社に契約を申し込む際に、債務整理をしていない、滞納や延滞はない、借金がないなど、虚偽の申告をすることはしてはいけません。
信用情報は申込みを受けた企業が調べることができるものであるため、調査をすれば明らかになるものであり、また虚偽の申告によって契約を締結した場合には、契約の強制解除ばかりか、損害賠償の請求を受けるなどのペナルティが発生するケースがあります。
利用中のリース車を任意整理の対象とする
利用中のリース車を任意整理の対象とすることも、やってはいけないことの一つです。
より正確にいうと、カーリースの料金を対象とした任意整理です。
これを行うと、リース料金が支払えなくなったという判定となるため、リース会社によってリース契約は解除され、車は引き上げられてしまいます。
この点にも注意しておきましょう。
まとめ
この記事では、債務整理とカーリースの契約、審査について解説しました。
カーリースは継続して支払いが発生する契約であるために、債務整理や事故情報などの情報が関係してくることに関して、意外と知らないという方も多いでしょう。
ただし、債務整理を過去に行っていても、すでに事故情報が消えているなど問題にならないケースもあります。
いずれにしても、リース契約の申し込み時には、虚偽の申告をせず、誠実に申し込み内容を伝えることが重要です。
この記事の監修者
ctn-magazine
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